IT化の企画書が終わったら、要件定義書作成または提案依頼書を作ります。自分達でオリジナルのシステムを作る場合、要件定義書が必要になります。既存のありものを使う場合、提案依頼書を作ります。
提案依頼書の目次は以下の通りです。
1.目的
2.範囲
3.必要要件
4.拡張性
5.希望スケジュール
目的や範囲は要件定義書同様、企画書からのコピー&貼り付けOKです。
提案書で重要な点は「必要要件」です。ここは一覧表で、自分達が必要な要件を記載します。そこで絶対に行うのが「必須」の条件を記載する事です。例えば、必要要件が10個あるとして、そのうち7個が必須要件だとします。これは何に使うかというと、「評価」に使います。
例えば三社に提案依頼して、要件に対して以下の様に提案があったとします。
必須 | 要件 | A社 | B社 | C社 |
● | ・・・が出来る事1 | ○ | ◎ | ○ |
● | ・・・が出来る事2 | △ | × | ○ |
● | ・・・が出来る事3 | ◎ | ◎ | ○ |
● | ・・・が出来る事4 | ◎ | ◎ | ○ |
● | ・・・が出来る事5 | × | ◎ | ○ |
● | ・・・が出来る事6 | ◎ | △ | ○ |
● | ・・・が出来る事7 | ◎ | ◎ | 〇 |
・・・が出来る事8 | ○ | ◎ | × | |
・・・が出来る事9 | ◎ | ◎ | △ | |
・・・が出来る事10 | ◎ | ◎ | × |
これをどう評価するか?一瞬で判断できます。C社です。要件の1から7までは必須です。必須を一つでも満たしていないなら、その提案内容を実現していけません。他の項目はどれだけ良くても関係ありません。例えばA社やB社の提案を実現して、依頼者である社長に報告したとします。
「社長できました。ただ、一部必須と言われた条件は満たしていません」
これでは依頼者である社長は「困る。必須と言った条件を満たしていないものを持ってきてもらっても困る。」
そうです。必須とはそういう意味です。逆の立場で考えて下さい。「これ必須だから」と依頼したのに、「必須条件は満たしていないけど、あったら良いねと言われた部分は最高に良い物がありました」と報告されたらどうですか?意味ないですよね。必須を満たしていないなら、他の要件はどうでも良いのです。必須を満たしていないものは実現してはいけないのです。
逆にC社の提案を実現して、社長に報告したとします。
「社長できました。必須と言われた条件は全て実現しています」
依頼者である社長は「ありがとう」というはずです。必須は必ず満たす必要があるから必須というのです。要望はあくまで要望です。必須を満たさない限り、要望はどうでもよいのです。
7.拡張性
今回の提案に対して、今後の展望や予定があれば、記載しておきます。これも相手と共有しておけば、相手もそれを意識して、提案を作る事が出来ます。
8.希望スケジュール
最後に、どれくらいのスケジュールでそれを実現したいのか記載しておきましょう。提案依頼の内容と作業量と自分の考えているスケジュール感を作り手側と共有します。これも作り手側が違和感なく共有できれば、提案内容の精度の確認にもなります。もし、自分が思っている提案依頼内容の内容とスケジュールについて、作り手側が違和感を覚える場合があったとします。例えば、提案依頼に対して、スケジュールが短すぎると相手が思った場合、受けて側は提案依頼の内容について記載すべき内容が不足していると察知して、相手に伝える事も出来ます。これも提案依頼書の品質向上につながると思います。
最後に予算について触れます。予算は秘密で進めます。これにより、相手は真剣に提案内容を考えます。相手の予算を色々な角度から想定します。これにより良い提案費用を引き出す事が出来ます。
提案依頼書は、提案者に最高の提案をしてもらう事が目的です。提案依頼書の内容は自社の現状や自分の思い込みをあまり強く出しすぎない様にします。あまりに現状前提や自分の思込みが強い提案依頼内容になると、相手の提案力を引き出す余地を奪ってしまうからです。
提案依頼書の要点は以下の三つです。
・必須要件を明確にする。
・予算は秘密。
・相手から最高の提案を引き出す事を意識する。
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