【イスラエル・ガザ地上侵攻へ②】アメリカと中国が中東安定ビジョンで衝突の復習

地政学

以下の動画を見ました。復習します。

イスラエルは反撃せざるを得ない。人質を200人取られて、黙っている訳にはいかない。

地上侵攻は確定的だ。問題はいつやるのか。人道回廊を準備して、準備が整ったら、その時がくる。

では地上侵攻が始まったら、それはどれくらいの期間続くのか。短期決戦はほぼないと言われている。ガザメトロという地下道の全貌が明らかになっていない。また、Tシャツ兵士のような人間の楯を使ってくるので、イスラエルは短期決戦が難しい。地下道に人質がいるとしたらなおさらだ。

ハマスは実は泥沼化する事を望んでいる。ハマスのもともとの不満は自分達がないがしろにされて、イスラエルとUAE等、他のアラブ諸国が協調している態度に対するものだ。ハマスは自分達の存在感を世界に知らしめて、自分達の正当性を訴えたい。実際、今、イスラエルとUAEの協調はパレスチナ問題を改善するという事が前提になっているが、現在、そうなっていない。従って、ハマスの期待通り、イスラエルとサウジは距離が出来ている。

しかし、パレスチナも一枚岩ではない。ハマスはイスラエルと打ち負かしたいと思っている。一方、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治政府は、イスラエルと交渉にて関係を改善したいと思っている。

過去、イスラエルとイランは協調的関係だった。1979年のイラン革命で全てが変わった。イランもかつては王国性でアメリカと仲が良かった。今のサウジと同じだ。イラン革命で王権が打倒して、イスラム教を中心とした国造りを行う事になった。ここからアメリカはイスラムを捻じ曲げる存在として、イスラエルは自分達の聖地を奪った相手として、イランから敵視される。

イランは核を作り出した。アメリカはこれを非難するが、イランは平和利用だと主張する。イランの核はアメリカには届かないかも知れないが、イスラエルには届く。イスラエルはこれを当然、脅威と考える。イスラエルは絶対にイランの核武装を許さない。

サウジアラビアの立ち位置も確認したい。実はサウジは、イスラエルと国交回復する前に、イランと2023年に国交を回復している。これを仲介したのが中国だ。中国はイランとサウジから石油を買っていた。中国は中東が安定した方が嬉しい。

これにショックを受けているのはアメリアだ。中国が中東の大国同士を結び付けるという大仕事をやってのけた。中東でのアメリカの影響力が相対的に落ちてきたと言える。

つまり、サウジは両国からラブコールを受けている。アメリカ仲介でイスラエルと国交を回復させる一方、中国仲介でイランと国交を回復させている。

これはアメリカと中国の中東安定化のやり方の違いの争いである。アメリカはイラン包囲網を作って、イランを孤立させて封じ込める事で中東安定化を図りたいと思っている。一方、中国はイスラエルを孤立させて封じ込みる事で中東安定化を図りたいと思っている。

ここでアメリカの中東安定化ビジョンに綻びが出てきている。それはパレスチナ問題だ。アメリアの仲介でイランを孤立させても、イスラエル内のパレスチナは未解決だ。ここで火を噴いたのが、ハマスのテロ行為だったのである。

このパスレチな問題は簡単には解決しない。イスラエルは短期決戦を狙って、北を攻め、その次に南をせめてハマスを殲滅させようとする。しかし、ガザ南からエジプトへの門は閉まっている。従って、ハマス殲滅には南に詰まっている民間人を含めて200万人を皆殺しにしなければいけない。これは国際世論が許さないだろう。ハマス解体はかなり難しい。

ではハマス解体でパレスチナ問題は解決するだろうか。答えはNoだ。ハマスを殲滅しても他のアラブ人のなかで新たな、テロ組織が出てくる可能性はある。つまり、このままイスラエルが地上侵攻を行っても、すぐに根本的に問題解決しないという事が見えてくる。

地上侵攻によって国際世論がどう形成されるか分からない。今は、SNSで映像が一瞬で世界に拡散する。地上侵攻がこれまで10倍の犠牲者が出ると言われている。しかも短期決戦は難しいという事は説明した通り。悲惨な戦場の映像がSNSを通じて、世界に影響を与える。人類はこの難しい問題を解かなければならない。

日本はアメリカ陣営である。一方で、石油は中東に頼っている。日本はどういう立ち位置でどうふるまうのか。アメリカ陣営でありながら、中国とも隣国として協調しなければならない。しかし中国とアメリカと覇権を争っている真っ最中。これは日本にとっても全く対岸の火事ではないという事だ。




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