ある製造業に情報システム担当として入社した。中小企業です。そこでいわゆるひとり情シスとして過ごす事が多かったです。
最初に意識したIT化の方針の一つがデータの一元化でした。ここでいうデータとはマスターデータの事です。
これはITを活用して、生産性を高めようとするならば、絶対的に必要な大前提となります。この考え方を意識して骨の髄まで徹底的に刷り込む必要があります。なぜならば、少し油断すると、あっという間にデータがいくつも作られ、それを多重管理する事になります。
なぜ、油断するとデータが重複して作られるか。一つは便利なITが沢山あるからです。今はクラウドでツールが提供されます。申し込みをネットで行う事で簡単に安くITツールを導入できます。ここに落とし穴があります。あまりに簡単なので、すぐに導入してしまいます。しかしどんなツールも必ずあるのが、本人確認です。具体的にはユーザーIDとそのパスワードが一般的です。例えば、このユーザーIDとパスワードのデータを一元化しておかないと、利用者はツールを導入する度にユーザーIDとパスワードを設定して、覚える必要が出来てきます。また、お客様の情報もよく多重化していまうデータの一つです。ツール事にお客様のデータを保存する必要があり、会社データや名刺データがいくつも出来上がってしまいます。
多重化したマスタデータは百害あって一利なしです。全てのデータを常に正しくメンテナンスする必要があります。これがうまくいっていないと、参照したお客様のデータが古くて、作業を間違えたというようなミスがおきます。それを回復する為の労力や時間やお金がかかります。
このようにしてデータの一元化を徹底的に実現しないまま、便利なITツールを導入すると、業務が効率化するどころか、かえって、正しくないデータが沢山ある事により被害の方が大きくなります。組織全体として、データ一元化はどこまでいっても、永遠に守らなければいけない信念です。この信念を持った人が必ず組織に必要になります。会社全体の効率化を進める立場にある人なら、絶対に持って頂きたい信念です。
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